夢中で読める経済小説傑作選

経済小説は現実的に起きうる問題や、その当時に話題となった経済の出来事などを題材にしていることが多く、現実と小説がリンクしてリアルな感じが読み手を引き付けます。

これまでに話題となった経済小説の中で、読み始めるとなかなかやめられなくなるほど、一気に読み終えてしまえる経済小説をいくつかご紹介します。

金融腐食列島

金融腐蝕列島まず、『金融腐食列島』という小説です。

高杉良の作品で、その後シリーズ化もされ、映画化されたものもあります。

1997年に初版が発行され、当時はバブル経済とその崩壊、さらに銀行などの大手企業による総会屋への利益供与、不正融資や官僚の汚職や癒着などについてのテーマがいろいろと盛り込まれています。

映像化されたシリーズ2作品めの『呪縛ー金融腐蝕列島2』では実際に起きた第一勧業銀行による総会屋利益供与事件がモデルになっているともいわれています。

総会屋とつながり、社内には総会屋対策のポストもある銀行で、徐々に実態がマスコミなどに暴露されていき、銀行の若手の社員が再建に奔走し戦うストーリーで、企業戦士のリアルな戦いが描かれています。

出典画像:
https://www.amazon.co.jp/金融腐蝕列島-上-角川文庫-高杉-良/dp/4041643066

オレたちバブル入行組

池井戸潤もう一つ、最近ですがテレビドラマ化され驚異的な視聴率をたたき出した半沢直樹シリーズの小説です。

池井戸潤の作品で、バブル期末期に銀行に入行した、銀行マンの半沢直樹が、組織や上司の不正と闘いながら活躍していく小説です。

第1作目の『オレたちバブル入行組』、2作目の『オレたち花のバブル組』はテレビドラマ化され、そのなかでは半沢直樹のセリフ『やられたらやり返す!倍返しだ!』の言葉が流行しました。

その後、『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』とテレビドラマの大ヒットに合わせてベストセラーとなっています。

どの作品にも共通するのは、企業や上司などの不正に対して、同僚などとともに快活に戦い、現在企業で働きつつも矛盾や葛藤を抱えながら働いている現役サラリーマンのうっ憤を晴らすようなストーリー展開です。

読んだ後に、また仕事頑張ってみようかと思わせてくれる作品となっています。

出典画像:
https://www.amazon.co.jp/オレたちバブル入行組-文春文庫-池井戸-潤/dp/4167728028

ほかにも、山崎豊子作の『華麗なる一族』では巨大な権力機構である銀行を徹底的に取材した事実をもとに、銀行内外での闇の世界と人間関係が絶妙に表現されていたり、『沈まぬ太陽』では航空会社を舞台に労働組合の委員長が左遷人事に耐えながら、実際に合った事故などを題材として、企業の腐敗体質やその体質を生み出した企業の土壌、黒幕などが描かれています。

どの作品も、完全なるフィクションではなく、現実とリンクする部分も少なくないため、自分の働き方などいろいろと考えさせられる作品ばかりです。